魂の骨格 超合金 魂MIX メカゴジラ(生頼範義ポスターVer.)商品化記念 総合監修:西川伸司 スペシャルインタビュー

超合金 魂MIX メカゴジラ(生頼範義ポスターVer.)商品化記念
総合監修:西川伸司 スペシャルインタビュー

今回のメカゴジラは、生頼範義先生の描いたポスターに合わせることを大命題、最優先にしています

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――「超合金 魂MIX メカゴジラ(生頼範義ポスターVer.)」(以下、「魂MIX メカゴジラ」)の企画が生まれた経緯からお願いします。

寺野:この企画の発端は2015年まで遡るのですが、当時は、2016年の『シン・ゴジラ』公開を控えて、日本のゴジラファンが盛り上がるだろう、と感じていた時期でした。
『ゴジラ対エヴァンゲリオン』などの企画もあり、比較的自由度も高そうに思えたので、このお祭り的なタイミングに合わせて、東宝様にポスター版メカゴジラの商品化企画を打診してみたところ、OKをいただきました。
ただ、その時に東宝様からも確認されたのですが、この商品をどうやって製作するのかという点がポイントで、ぜひ当時を知る方の力をお借りしたいと考えていました。
企画書の段階では別の方の予定でしたが、資料を検証していったところ、このポスターに描かれていたメカゴジラのベースを描かれたのが西川伸司先生だということが判明して、協力をお願いした次第です。


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――なぜ、このポスター版メカゴジラをチョイスしたのでしょうか?

寺野:小学生の時、初めて劇場で見たゴジラ映画が『ゴジラVSビオランテ』で、それからゴジラのVSシリーズは欠かさず見ていたんです。
『ゴジラVSメカゴジラ』のポスターを初めて見た時、後ろにそびえ立つ新たなメカゴジラに強いインパクトを抱きました。昭和のメカゴジラのビジュアルは知っていたので、解像度が高くなったポスター版のメカゴジラに圧倒的な格好良さを感じました。
その気持ちを抱いたまま、『ゴジラVSメカゴジラ』を見に行ったら、「あれ? ちょっと違う気がする」と思ったんです。
当時はその理由がわからないまま、密かにトラウマ化していました。あのポスターに描いてあったメカゴジラはどこに行ってしまったのか……と。

西川:ポスターのメカゴジラと映画に出てきたメカゴジラのデザインが違っていたのは、映画製作のシステム上やむを得ないことだったんです。
映画用のデザインは丁寧に煮詰めて作られるので、告知用ポスターを作るタイミングでデザインが決定していない場合もありうるんですよ。
この時はまさにそんな状況でした。

寺野:そういう事情は自分も社会人になってから知り納得はしつつも、いつかこのメカゴジラを商品にしたいという野望がありました。
そして2016年に来るであろうゴジラのムーブメントに対して、自分と同じゴジラのVSシリーズ世代に向けたものを提供したい、と考えた時に、今こそポスター版メカゴジラが浮かんだわけです。

――西川先生は、「魂MIX メカゴジラ」のお話が来た時にどう思われましたか?

西川:寺野さんから連絡をいただいたのが、「ゴジラ×生賴範義 回顧展」の後だったんです。
「回顧展」用のイラストとして、メカゴジラの合体変形途中を描きました。元のポスターを見ると、手前にいる戦車とメカゴジラの腕が同じ形をしていますし、ポスターの絵をベースに、改めて合体システムを詰めてみたのが「回顧展」用のイラストです。
あの時ポスター版メカゴジラを描いたのは、主催側のオーダーですが、てっきりそれを見て話がきたのかな、と思うぐらい魂MIXの件はジャストタイミングでしたね。

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――ポスター版メカゴジラのイメージはどこから生まれたものなのでしょうか?

西川:『ゴジラVSメカゴジラ』のメカゴジラの設定は、特技監督の川北紘一さんが中心になって作られていました。
川北監督は昭和のメカゴジラにも関わってることもあって、あえて以前と大きく変えたいという気持ちがあったんです。だから合体の他にも、色もシルバー以外で考えてみたり、一時は名前まで変えようとしていたくらいです。
合体については、デザインワークが始まったほぼ最初の頃からありました。一番最初に合体しないメカゴジラも描いていますが、その後に描いたものはすべて合体を前提にしたものになっていますから。



――西川先生は昭和のメカゴジラに思い入れがあるとお聞きしていますが、合体に抵抗はありませんでしたか?

西川:リメイク怪獣のデザインワークの中で、メカゴジラはあえて変えるべき存在と考えています。メカニックは時代時代で現実世界での常識も違ったり、アニメで流行っているデザインも変わるじゃないですか。
だから、常に最先端を取り入れる必要があると思うんですよ。だから、『ゴジラVSメカゴジラ』の時も、当時のロボット事情を見ながら、何人かで描きました。
そして、それぞれのデザイナーなりの方向性が固まっていった頃に、川北監督が生賴範義先生のところにポスターの相談に行ったんですよ。
その時、川北監督が現時点で自分が考えているメカゴジラに一番近いデザイン画を持って行って、生頼さんに指示を出したそうです。その内容を川北監督から伺ったのですが、基本になったのは自分が描いた合体メカゴジラでした。ただ、川北監督はもっと曲面が欲しかったようで、胸とか肩周りとかは他の方、たぶん吉田(譲)さんの絵だと思いますが、それを移植する感じで指示されたそうです。
その指示を元に、生頼先生がポスター用のイラストを描かれた、という流れですね。
今回の魂MIXメカゴジラは、合体システム再現という意味では僕が最初に考えた大元のデザインをベースにしていますが、ポスターに描かれている部分についてはポスターに合わせることを大命題、最優先にしています。

――ポスターといえば、メカゴジラの右上に飛んでいるメカは今回の商品とは関係ないんですか?

西川:あれは吉田さんが描いた2機合体版メカゴジラ用の飛行メカなんですよ。
ですのでポスターのメカゴジラに合体するメカは、ゴジラが持っているやつと、ラドンが踏んでるやつ、背景で燃えているやつの3つです。

寺野 3機を数えるときに、まず最初みんな飛んでるメカを数えるんだけど、違うんですよね。僕も西川先生に教えていただきました。

――「魂MIX メカゴジラ」のフォルムはどのように構築されていったのでしょうか?

西川:僕からは形状の提案と、それに伴う設定の摺り合わせを行いました。『ゴジラVSビオランテ』から繋がっている世界観やメカニックの発展史を改めて練り直して、ゴジラのVSシリーズの流れで、それぞれのメカはどういう位置づけになるのか再検証しましたね。
その上で、ポスター版メカゴジラがもし1993年の映画に登場していたら、どんな怪獣になっていたのだろう? というところまで突き詰めたかったんです。
だから、体型は着ぐるみを意識したり、それぞれのメカニックの変形も、CGではなくミニチュアを想定しました。中にこんな内部機構が入って、外から操演で動かせて、実写で合体や変形途中を撮影できそうな物ですね。合体も小さいヒンジで無理矢理つないでガチャン、っていうのではなく、重機が持ち上がる映像を感じさせるような方向に収めたかったんです。
その一方で、今の時代に作られる合体ロボットなので、玩具としての楽しさもスポイルしたくない。その双方のバランスについて悩みました。

――ガルーダを始めとする3つのメカニックの合体はどのようにして、固められたのでしょう?

西川:合体システムは「回顧展」用のイラストを描く時に改めて考えたものを活かしてますが、頭をどこに収納するかは迷いました。
頭は人型ロボットの場合でも隠すことが難しいのに、メカゴジラの場合は、頭よりデカイ首が下にくっ付いているから本当に隠し辛い。
最終的に立体との整合性は寺野さんにお任せしました。その結果、完全変形の試作が上がってきて驚きましたね。

寺野:完全変形にはこだわりました。魂MIXのメカゴジラに、合体用の差し替えパーツはまったくありません。
機構はこちらで詰めましたが、形状については西川先生から「東宝怪獣」に近づけるための提案を色々といただいてます。


西川:川北監督の作品に登場するメカニックに近づけるためのニュアンス付けは、細かく指示しました。
合体の時に下半身が持ち上がる時は、単純に持ち上がっちゃいけないから推進力が必要だろう……とか。川北監督は飛行メカの後ろから噴射させたいはずだから、噴射口を新たに提案したりとかですね。
脚部メカのタイヤもデザイン画にはないんです。「回顧展」のイラストを描いたときに、変形途中にだけ見えるつもりで描いたんですよ。
下半身が持ち上がる時に噴射だけではなく、油圧で持ち上げて、定位置に来たら収納されるものでいいかなって。でも、メカニック発展史を考えている時にタイヤが残っている方がいいのでは……と思い直しました。
平成の東宝メカとして考えた場合、メーサータンクなどタイヤのあるメカニックは重要ですからね。

寺野:腰を囲んでいるパーツも途中で大きく変わりましたね。

西川:最初は腰の後ろに倒すように設計していただいたんですけど、小さかったんです。
戦車状態のバランスで考えるとその方がいいんですよ。でも、あのパーツはもともと前に倒して股関節を隠すことを想定していました。その後、最初の試作ができた時に胴が短く見えて、もう少し胴にボリュームを持たせたいと思った時、腰のパーツを前に倒せば解決すると思い浮かんだんです。
実際に修正してみると単なる股関節隠しじゃなくて、胴体部分のボリュームのバランスそのものが良くなりました。

寺野:去年の「魂ネイション2016」で展示した試作から、顔だけでも5、6回直しましたね。

西川:立体試作ができあがった時、もう一度ポスターの絵にあたって、細かく検証し直しました。
どうしても厳つさが足りずスマートに感じてしまったので、もっと無骨にしなければ……ということで何度かチェックを入れました。でも、どうしてもベースがあると変わりきらない部分があり、最終的には一から横顔と正面の絵を描きなおすことにしたんです。
あとはディティールもだいぶ増やしました。もともとアッサリしていたわけではありませんが、生頼先生の絵の力が凄いから、そこにどう近づけるかという点においてですね。
あとは3機のメカに共通する意匠が欲しい、という寺野さんの提案があって、手と羽に黒いラインを入れました。これは当時のデザイン原案に幾つか色を塗ったうちの一枚にあったもので、もともと生頼さんのポスターでも、手前にいる戦車にラインが入っていたので、そこを拾いました。

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――幻に終わったキャラクターが20年以上愛されたことはすごいことですね。

西川:商品化の原動力となったのは、生頼先生のポスター用イラストが素晴らしかった、ということが大前提です。
そして、これだけ長い間気にしてくれた人がたくさんいたという事実ですよね。
その両方に支えられたことが実現に繋がったと思っています。ガンダムで映像には登場しないモビルスーツが模型で出たことありますが、あれは一応決定デザインまでは存在しているじゃないですか。このポスター版メカゴジラは決定デザインさえ存在していませんからね。
そういう意味では、魂MIXの作業を通じて僕もモヤモヤの解消ができたと感じています。このアイテムが出ることで、色んな人に幸せになって欲しいですね。

寺野:今回に語っていただいたポスター版メカゴジラが魂MIXになるまでの流れを、西川先生に漫画化していただきたいと考えているんです。

西川:このメカゴジラにまつわる事情って、かなりマニアックですからね。このメカゴジラがいかなる存在で、商品化できたことがいかに快挙であるか……そこを描いてみたいんです
。事情はおろか、存在さえ知らなかった人にも、この魂MIXを単に格好良いメカゴジラとして買ってもらえるはずなんですよ。
そこに僕の漫画があれば、知らなかった人にも何たるかが伝わると思うんですよね。漫画はわかってもらいやすいメディアなので、ぜひ取り組んでみたいです!!

< 特 報 !! >
「超合金 魂MIX メカゴジラ(生頼範義ポスターVer.)」に
西川伸司先生による描きおろしコミックの付属が決定!!

【プロフィール】
黒部 進(くろべ・すすむ)

 

西川伸司
1964年、京都府京都市生まれ。 1988年に『土偶ファミリー』でデビュー。主な漫画作品に『YAT 安心!宇宙旅行』『青い海のサシミ』などがある。1989年に『ゴジラVSビオランテ』でビオランテのデザインを担当し、 以降『ゴジラFINAL WARS』までゴジラシリーズ全作品で怪獣およびメカニックのデザインで参加した。近年は『劇場版ウルトラマンX』『ウルトラマンオーブ』など円谷プロ作品の画コンテを手掛けている。



超合金 魂MIX メカゴジラ(生頼範義ポスターVer.)
超合金 魂MIX
メカゴジラ(生頼範義ポスターVer.)


魂ウェブ商店2017年9月発送
販売価格:17,280円(税8%込・送料別)
2017年5月12日(金)16時受注開始


ブランド別商品一覧 - 超合金 1974年発売の大ヒット商品「超合金 マジンガーZ」からスタートした、ダイキャストを使用した玩具シリーズ。ダイキャストを含む複合素材による外観再現に加え、発射、合体、変形などキャラクターに応じたギミックを搭載。そのコンセプト、デザイン、アクション性は「超合金」というトイカテゴリーを生んだ、玩具のパイオニアシリーズ。

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