魂の骨格 S.H.Figuarts『アベンジャーズ』シリーズ発売記念 フィギュア企画担当×映画秘宝ライター スペシャル対談
2015-07-17 12:00 更新
空前のメガ盛りヒーロー映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』が世界を席巻するなか、ここ東京・浅草の株式会社バンダイ本社ビルにも、マーベルヒーローとアベンジャーズを愛してやまない男たちが無邪気にASSEMBLE! フィギュア企画担当×映画秘宝ライター陣、史上初のクロストークが実現。おもちゃの現在と未来は、こんなにもワクワクに満ちている!!
――(テーブル上のサンプルを見ながら)ギンティさん、ロビンさん、S.H.Figuarts『アベンジャーズ』約1/12スケールフィギュアシリーズの実物を見ていかがですか?
ギンティ小林(以下ギンティ):まずアイアンマンに関しては、僕たちにとっての「メタルヒーロー」(ex. 宇宙刑事ギャバンなど)と同じように、ちっちゃい頃から慣れ親しんできたおもちゃメーカーが、フィギュアというより“おもちゃ”と思える感じで作ってくれたら最高だよねってまわりで話してたんですが、いまはこのS.H.Figuartsシリーズが実現してくれてるんだなぁと。そしていよいよアベンジャーズのメンバーが出そろって、ほんとステキですよね。
ロビン前田(以下ロビン):魂ネイションズ(のフィギュア)となると、すぐ開けて取り出して、布団をぐしゃぐしゃにして戦場にして戦わせないといけない!っていう気持ちは出ちゃいますよね(笑)。
ギンティ:遊んでいいんだ!っていう感じ。
──『アベンジャーズ』シリーズのフィギュア商品企画担当・寺野さんにうかがいます。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の商品化はいつ頃からスタートしたんですか?
寺野彰(以下寺野):昨年の7月頃お話をいただきました。これまではS.H.Figuartsでは『アイアンマン』シリーズのみの展開でしたが、今度はアベンジャーズ2で他のキャラクターも含めてがっつりやってもらえませんかと。さらに今回はハルクバスター出ます!と言われたので、やります!! と(笑)。
ギンティ:『アイアンマン』が実写化されてから、常にみんなハルクバスターを待ってましたからね。アイアンマン3のイゴールを見たときに早とちりした人がハルクバスターだ! って言ってましたから。
──ハルクバスターのデザインを初めて見たとき、寺野さんはどう思いましたか?
寺野:やはり映像になるのでコミックのデザインより情報量が圧倒的に増えていて立体化のし甲斐があるなーと。ただ、まだ決定稿ではない状態で資料を何種類かいただいたので、どれが最終なのかもわからず、これか!? と設計を進めてみたデザインが最終ではなかったり、「中にアイアンマン入るの??」「ハルクとの対比はこれ??」とかわからないことだらけで結構苦労しました。
ロビン:資料が届いて登場キャラたちのリストを見たとき、どんな気持ちになりました?
寺野:うわーいっぱいいる! 商品化の前に、一本の映画でこんなに映画で全部だせるの? って(笑)。
ギンティ:うらやましい! デザインとかいち早く見られて。
寺野:でもファンとしては寂しいところも……。やっぱりオンタイムでみんなと同じように騒ぎたいし盛り上がりたい。
──寺野さんは、マーベル作品そしてアベンジャーズへの思い入れがすごく強いとうかがっています。その思いの深さとあわせて、商品化実現までの経緯をお聞かせください。
寺野:90年代のアニメ版『バットマン』や『X-MEN』で好きになり、小学館が当時出した邦訳のX-MENシリーズは欲しくて… でも当時は買えず、大学生になった頃に邦訳されているものはほぼ全て集めました。その後ジャイブ、小プロ、ヴィレッジブックスと色々出してくれるようになったのであらためて買うようになりました。S.H.Figuartsでアイアンマンを始めたのもその頃です。
そんなわけでユニバースな概念が大好きなので、作品を飛び越えてクロスオーバーを展開するマーベルスタジオの作品に惹かれないはずもなく、当初からいちファンでした。 実現に向けてはまずは『アイアンマン2』からマーク6とウォーマシンを商品化しています。タイミング的には『アイアンマン3』公開のころです。『アイアンマン2』終盤のあの2キャラってダブルライダーじゃないですか、(アイアンマンとウォーマシンが)背中合わせで戦って。日本の特撮の演出をわかってるよね、っていう……。
ギンティ:それまでアメコミのヒーロー映画って、ケレンと決めが無かったですけど、『アイアンマン』からケレンと決めを出し始めましたよね。
寺野:そうそう! 『アイアンマン2』で自分含めて周りも盛り上がっていたので、これはもう僕ら(フィギュアを)作るしかないよね、というところで始めたんです。まさに「アイアンマンってメタルヒーローだよね」というスタートだったので、その段階ではまだ他作品のキャラクターは商品化を検討すらしていませんでした。僕はマーベル好きなんでいつかは出したいな出したいなと思ってましたけど(笑)。そしてアベンジャーズ1公開のときにマーク42を商品化しました。そんな中でアベンジャーズ2にハルクバスターが出る!という話をうかがい、最高でアベンジャーズを揃える、最低でもハルクバスター含めて登場するアイアンマンシリーズを全部作る、と決めました。あとは熱意と根性と関係各位の協力によりここまでラインナップすることができました。
──最新のアイアンマンスーツ マーク45について。
ギンティ:海外のフィギュアファンサイトで見て、こんなかっこいいのかよ!って思いましたもん。マッシブな曲線の良さって言うんですか。胸板の厚さも好きなんですけど、顔がシャープになってますよね。
──一見すると、宇宙に行きそうな感じですよね。
寺野:コミックで言うと、エクストリミスアーマーみたいな。ぬるん、としたシルエットなのでなるべくメリハリが付くようにしてます。もちろん、床ドンできます。
ギンティ:アイアンマン1で車のホットロッド見てカラーリングを決めたトニー・スタークの趣味がちゃんと出てますね。
ロビン:このイヅブチ穴はもともとのデザインなんですか?
(注:デザイナー出渕裕氏のメカデザインによく見られる、丸い穴を5つ台形に並べた意匠)
寺野:もともとのデザインです。なんでここにきてブチ穴なんでしょうね(笑)。
──初期の「S.H.Figuarts アイアンマン マーク6」から比べて、今回の43や45は進化している部分はありますか?
寺野:進化してます。プロポーションのとりかたとか、マーク6の頃より良くなってます。ヒーローフィギュアは手馴れているとはいっても、アイアンマンはともかく良く動くので、まずは可動と素材感を重視してマーク6を、そのフィードバックをマーク42に加えて、という形で都度改良を行っています。その最新が今回のマーク45です。
──ハルクバスター」はS.H.Figuartsと超合金のハイブリッドという、どえらいことになってますが、この仕様は最初から頭にあったんですか?
寺野:ぜんぜん無かったです。原作のハルクバスターから、このくらいかなーと想像しながら作っていたら、PVや資料が集まってくるたびに、こいつ相当でかいキャラだと。大きくなってくるとフレームに合金とか使わないと強度が持たなくなる。なので、基本はフレームに合金を使おうと決めました。ただ、合金使うだけで超合金と言いたくなかったので、おもちゃ的なギミックも欲しいよねということで、じゃあ光らせましょうか! と。そもそもやりたかったことは、ハルクと戦わせること。そうなるとやっぱり足は踏ん張りたいですし、動くことありきで動く関節を作って、それに対して光って楽しいところを選んで、さらに合金使って質感を上げていこうと考えました。
ギンティ:すごいなぁ、ポージングが! 指動くんですね!
寺野:指、フル可動なんですよ。アイアンマンでリパルサーのポーズは絶対要るだろうと。あとは、ガンダムとかでよくやるんですけど、膝を曲げるとここの装甲がスライドしたり……
(と言いつつ、ハルクバスターにど迫力ポーズをつける寺野)
一同:かっこいい! めちゃめちゃ欲しい!!
ギンティ:雄々しい!
──可動再現が難しそうなハルクバスターをとことん可動にする。そこに魂ネイションズにしかできない技が詰まっていると思いますが、ハルクバスターの可動ギミックについて苦労した点やこだわりをもう少し聞かせてください。
寺野:通常のロボットと大きく違うところはとにかく『太い』ことです。胴も厚ければひじや膝も太い。これをガシガシ動かそうと思うと軸配置の調整や強度のための素材選び、あとは見えてきてしまう裏側に対してのディテール追加などで苦労しました。その上で肩の引き出しであれば力強い角度に腕が出るように敢えて斜めに引き出し軸を入れたり、膝には曲がった時の内部の露出をなるべく減らすため先ほどお見せした装甲のスライドギミックを取り入れたりしています。
──あらためて、初めてトレーラー映像でハルクとハルクバスターが戦ってるシーンを見たとき、みなさんどう思われましたか?
ギンティ:背後にスペアパーツが控えてるのがすごいなって。ハルクバスターを一部の人は「中華鍋」って呼ぶじゃないですか。その中華鍋感がちゃんと表現されてるし。
ロビン:会社でこっそり小窓で見てたんですけど、「ぐわっ!」って言ってしまいましたね。けっこう(出し方に)不安はありましたけどね、サービスで出せばOKみたいな。
ギンティ:倉庫に飾ってあるだけ、みたいな(笑)。
寺野:中にアイアンマンが乗ってる、ヤバい! いま作っているものとサイズ感が全然違う、どうしよう……と。で、色々と検討をしてみたんですが、あれって中にどうやっても43が入るボリュームじゃなくてさらに悩みました。膝から下、折れちゃうよ!って(笑)
──ギンティさん、ロビンさん。ハルクバスターで遊びたいですよね!
ロビン:ガチャガチャ遊びたいです!
ギンティ:ふと我に返るんですけどね、43歳なのにって(笑)。
──寺野さんとしても、魂ネイションズとしても、そうやって遊んで欲しいっていうのが強い思いですよね。
寺野:そうですね。高い商品ではありますが、おもちゃ屋さんなんで、我々。
ロビン:寝っ転がってずーっと眺めたいですね(笑)。
ギンティ:ちっちゃい頃から情操教育させてもらったバンダイの魂ネイションズからアベンジャーズが出るのが嬉しいし、再現度が高くがんがん遊べる、かっこいいポーズがとれる、理想のおもちゃの形を追求してくれてるのが素晴らしいです。
──最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
寺野:ロビンさんとギンティさんのはしゃぎっぷりを目の当たりにして、素直にうれしかったです。常に作品好きの自分と玩具としての割り切りを検討する自分のせめぎ合いの中で、玩具としてとても納得いくものが作れました。安い商品ではありませんが映画を観てグッときた皆様、一度ご検討いただければ幸いです。
【プロフィール】
ギンティ小林(ぎんてぃ・こばやし)
男の墓場プロ所属。フリーライター。『映画秘宝』編集&ライター。書籍版「新耳袋殴り込み」シリーズが洋泉社から発売中。
ロビン前田(ろびん・まえだ)
赤犬、恋愛研究会。、MANTLEGOD、TERRORFACTORY、男の墓場プロなどもろもろ活動中。『映画秘宝』ライターとしても活躍中。
寺野 彰(てらの・あきら)
ハイターゲット向けロボット玩具の企画担当。2013年よりロボットの設計技術を活かしたフィギュアの企画も担当。
S.H.Figuarts 「可動によるキャラクター表現の追求」をテーマに、「造形」「可動」「彩色」とあら ゆるフィギュアの技術を凝縮した手の平サイズのスタンダードフィギュアシリーズです。 |
超合金 1974年発売の大ヒット商品「超合金 マジンガーZ」からスタートした、ダイキャストを使用した玩具シリーズ。ダイキャストを含む複合素材による外観再現に加え、発射、合体、変形などキャラクターに応じたギミックを搭載。そのコンセプト、デザイン、アクション性は「超合金」というトイカテゴリーを生んだ、玩具のパイオニアシリーズ。 |
©MARVEL
注意事項
- 画像はイメージです。
- 商品の画像・イラストは実際の商品と一部異なる場合がございますのでご了承ください。
- 発売から時間の経過している商品は生産・販売が終了している場合がございますのでご了承ください。
- 商品名・発売日・価格など、当ホームページの情報は変更になる場合がございますのでご了承ください。
- 発売日は全て日本での発売日を掲載しています。日本以外のエリアでの発売日は各所販売サイト・販売店でご確認ください。
- 商品取り扱い状況でご案内がない場合はお近くの販売店にてご確認ください。
- 当ホームページでは、魂ウェブ商店の商品は2012年7月以降発送のものを収録しております。
また、一部「魂ネイションズ」から展開している商品で、当ホームページで紹介していない商品もございます。 - 当ホームページでは過去発売の商品について、現在店頭等で購入するとした場合の新税率(10%)で表示しております。
発売当時の価格(旧税率)と異なる場合がございますので予めご了承ください。 - 店頭販売商品の価格は、消費税を含んだメーカー希望小売価格表示です。
- 魂ウェブ商店の商品価格は、消費税を含んだ販売価格表示です。
- 魂ウェブ商店のアイテムが購入できる際に表示される「今すぐ購入」ボタンは、ご希望の商品をプレミアムバンダイのカートに直接入れられるサービスです。プレミアムバンダイのメンテナンスやお使いのデバイス設定等により機能しない場合があります。
- プレミアムバンダイへのアクセスが集中している場合、 「今すぐ購入」ボタンが非表示・またはアクセスできても正常にページが表示されない場合がございます。その場合は大変恐縮ですが、時間をおいてお試しください。
- iPhoneをお使いの場合、日本以外の「今すぐ購入」ボタンが動作しないことがあります。ブラウザ設定の「サイトを超えてトラッキングを防ぐ」をオフにすると改善する場合があります。
この記事を評価する
このページの内容は役に立ちましたか?
一言コメント