魂の骨格 第36回 『ULTRA-ACT ウルトラマンダイナ(フラッシュタイプ)』発売 & 映画『ウルトラマンサーガ』公開記念 つるの剛士 スペシャルインタビュー
2012-02-14 00:00 更新
『ULTRA-ACT』シリーズより、「平成ウルトラシリーズ初期3部作」ファン待望の「ウルトラマンダイナ(フラッシュタイプ)」がいよいよ登場!
スマートさと力強さが両立した「ガイア」以降のプロポーションを踏襲しており、集光ギミックにより目が光る頭部や、スタンド直結用アタッチメント、各種エフェクトパーツなど、ディスプレイの幅が広がるオプション要素も充実。しかし何より嬉しいのは、『ULTRA-ACT』シリーズでついにティガ・ダイナ・ガイアの3大ヒーローが勢揃いすることであろう。
そこで今回は、3月公開の映画『ウルトラマンサーガ』でもダイナ=アスカ・シン役で活躍するつるの剛士さんをお迎えし、今年で15周年を迎えた『ウルトラマンダイナ』の思い出や映画のこぼれ話、そしてフィギュアへの熱い思いを語っていただきました!
■つるの剛士は本当にアスカと一緒に成長してると思うし、「一生アスカなんだな」と思いますね。
――『ウルトラマンダイナ』放映当時は、どのような気持ちでアスカ・シン役に挑まれたのですか?
つるの 当時の僕は駆け出しの俳優でアスカ役が初めての主役でしたから、スーパーGUTSの新入隊員だったアスカの役柄そのままでしたね。まだ22歳で仕事に対しての意識も低かったしすごく生意気だったと思うんですけど、1年間演じ続けてアスカと一緒に成長させてもらったという感じです。ファンの皆さんの声を聞いたり、ちびっ子たちと触れ合ったりすることで、自覚が芽生えて成長出来たんだと思いますね、やっぱり。
アスカは、それまでのウルトラヒーローと比べると三枚目と言うか……かなりぶっ壊れてますからね、いい意味で(笑)。そういう意味ではダイナは「雲の上の存在」的なヒーローではなく、「近所のお兄ちゃんがウルトラマンになりました」的な存在だと思うんです。だからすごく人間味があって、「誰でもウルトラマンになれるんだ」という夢のある存在でもあるし。そういう部分は、子供たちと触れ合っている中でも常に意識してましたね。
――15年経って同じ役を演じることも、そうはない貴重な体験ですね。
つるの 僕も人間ですから成長しますし、それは多分アスカも一緒だと思うんですよ。なので「昔のイメージよりも今の等身大でいい」と思ってますし、「つるの剛士の生き様=アスカ・シンの生き様」という部分は大切にして行きたい。そういう意味では、つるの剛士は本当にアスカと一緒に成長してると思うし、「一生アスカなんだな」と思いますね。 僕は一昨年に親父を亡くしたんですが、そういう意味でもアスカと境遇が一緒なんですよね。親父のことはすごく尊敬してるし、未だに親父のことを追いかけてるんで。そういう意味でも、アスカと全く同じ気持ちなんです。 だから今回の映画も、性格や内面的にはそんなにギャップはないと思います。見た目的にはかなりありますけど(笑)。
――最初にアスカを自然体で演じたのが、良かったんでしょうね。
つるの オーディションでアスカの台詞を初めて読んだとき、「これ、俺じゃん!」と思ったんですよ。台詞の内容やキャラクター的にもまんま自分だったので、「これは変に役作りしないで行けば受かる」と思って、ホントにそのままの自分でオーディションに挑んだんです。あのときも本当に自然体で、肩に全く力が入ってなかった。だから……こんなこと言うと生意気だと思われちゃいそうですけど、ホントにそのときから「アスカは自分のものだ」と思ってました。
――アスカは元ピッチャーという設定ですし、『ダイナ』自体野球ネタ満載の作品でしたが……?
つるの 僕、最近までパ・リーグのことをペ・リーグって言ってたんですけど(笑)、それくらい野球のことを全く知らないんですよ。ボールの握り方も知らなくて子供の頃から鷲掴みで投げてましたし、知ってる野球選手は北別府とバースだけですから(笑)。それで後番組の『ガイア』からはオーディションの要素にスポーツが加わって、後輩たちにも迷惑を掛けちゃいました(笑)。
■「信じる心」と「諦めない気持ち」を、今こそ改めて伝えられたらいいなと思ったんです。
――『ウルトラマンサーガ』では3年振りにアスカを演じましたが、いかがでしたか?
つるの 最初にお話を頂いたのが震災後だったということもあって、脚本を読んだときにウルトラマンのパワーというか……「信じる心」と「諦めない気持ち」を、今こそ改めて伝えられたらいいなと思ったんです。アスカの想いと、今の日本が大切にしなきゃいけない部分がリンクしたように思えて、その想いをもう一度アスカとして伝えたいなと。
ウルトラマンって、直訳すると超・人(ちょうひと)じゃないですか? だからもう一度、人間の力や強さをみんなに感じて欲しい。僕もこの作品で改めて人間力、「誰もがウルトラマンなんだ」ということを教えてもらえた気がしましたし、そこは皆さんに感じて頂きたいと思いますね。
――撮影現場では、スーパーGUTSのメンバーとは再会されましたか?
つるの 今回は会ってないんですよ。一応みんなにメールはしましたし、会いに行きたかったんですけど……「現場に行っちゃいけないな」と思ったんですね。映画を観てもらうと分かるんですけど、「アスカが旅立って15周年」みたいなイベントのシーンがあって、その場に僕が居るのは「雰囲気を壊しちゃうかな」と思ったんです。 実は『ダイナ』の最終回のとき、現場にいたらみんなから「席を外してくれ」って言われたんです。アスカが旅立った後のシーンを撮影するところだったので、「目の前に居たら気持ちが入らないから」って(笑)。「確かにそうだな」とは思ったんですけど、それが未だに引っ掛かってるところもあって(笑)。 今も『ダイナ』のことを大切にしてくれている人が大勢いらっしゃって、そこはやっぱり僕も守って行きたいし、ちゃんと作って行きたいなと思うので。
――今回の『サーガ』では、新たなメンバーも登場しました。
つるの DAIGO(BREAKERZ)や(杉浦)太陽は普段から一緒に仕事してますけど、AKB48のメンバー(チームU役の秋元才加、梅田彩佳、宮澤佐江、増田有華、小林香菜、佐藤すみれ、島田晴香)は歌番組とかでしか会ってないんで……実は僕、今回撮影には4日しか参加してないんです(笑)。
AKBのメンバーは、めっちゃ若いじゃないですか? DAIGOや太陽はまだ行ける年代なんですけど、僕はもうひと回りしちゃってるから、彼女たちのノリについて行けなくて。探り探りしている内に、4日間が過ぎてしまい……ちょっと残念でしたね(笑)。
――DAIGOさんのキャスティングは、最初に聞いたときは意外でした。
つるの アスカもけっこうぶっ飛んだキャラクターだったけど、DAIGOが演じたタイガ・ノゾムはそれ以上……3倍くらいぶっ飛んでますからね(笑)。だから最初に脚本を読んだときは「こんなキャラ、どう演じるの?」って思ってたんですけど、実際にDAIGOの芝居を観たら納得が行ったし、試写で観たら「なるほど、成立してるわ!」と。もう全然アリでしたね。今回ホント面白いですよ!
■自分の父親がウルトラマンだったら、それはもう鼻血モノじゃないですか(笑)。
――ちなみにつるのさんのご長男は、お父さんがウルトラマンを演じていることをどう思っているのですか?
つるの 僕は『ダイナ』をやっている頃から、「将来息子が出来たら『ダイナ』のことをどう教えようか」って色々と考えてたんです。やっぱり自分の父親がウルトラマンだったら、それはもう鼻血モノじゃないですか(笑)。
▲可動ギミックを確認するかのように、『ULTRA-ACT ウルトラマンダイナ(フラッシュタイプ)』を弄るつるのさん。「サムズアップ」を再現した右手首にも、大いに喜んでいた。
その頃考えた計画だと、自分がウルトラマンだったことはとりあえず隠しておこうと。でも物心が付く頃には、きっと周りの友だちに「お前のお父さん、ウルトラマンだったらしいじゃん?」とか言われるだろうから、聞かれたら「ついにこのときが来たな」という感じでおもむろにクローゼットから隊員服を取り出して、「実は今まで内緒にしてたけど、パパはウルトラマンだったんだよ」……という展開が、僕の理想だったんです。
で、その数年後に結婚して実際に長男が産まれたんですけど、僕がどうしても我慢出来なくなって、結局生後半年くらいで『ダイナ』を見せたんですよ。でも今とは見た目も違うので、「パパはウルトラマンだったんだよ」と言っても信じてもらえなくて……(笑)。
ただ、その数年後に『大決戦!超ウルトラ8兄弟』に出させて頂いて、当時幼稚園児だった息子と一緒に観に行ったら、それまで半信半疑だったのがようやく納得してくれて。あれがなかったら、未だに信じてもらえてないと思いますね(笑)。
――出演した甲斐がありましたね(笑)。
つるの 僕を見る目も変わりましたし、周りの人に「うちのパパはウルトラマンなんだよ」って自慢するようになったり……あれはホント、やって良かったです(笑)。
■『聖闘士聖衣神話』シリーズを集めたり、ファーストガンダムやデコトラのプラモを飾ったりしてました。
――それでは、『ULTRA-ACT』シリーズのダイナをご感想をお聞かせ下さい。
▲ゴモラにも食いつき、尻尾が関節可動することや付属のエフェクトパーツに大興奮。
つるの いや~……これはカッコいい!この筋肉質な感じがいいですね。実際のダイナはここまでじゃなかったと思うんですけど(笑)。あと、可動箇所の多さが嬉しい……ダメだ、ずっと触っちゃいますねコレ(笑)。 スーツでこのムキムキ感を出したのが、ガイアなんですよね。スタイルがカッコよくて、あれは正直「羨ましいな」と思いました。ダイナはもちろん大好きだし、子供の頃リアルタイムで観ていたウルトラマン80も好きですけど……実は俺、ガイアが一番好きなんです(笑)。 ガイアって必殺技のフォトンエッジも派手だし、アクションもカッコいいんですよ。それに、毎回登場時に土煙を上げて「ドーン!」って出て来る演出が特に好きなんですけど……あれって実はダイナが先にやってて、後でガイアに持って行かれた感じなんですよね。だから心の中ではすげえ悔しくて、ガイア=高山我夢役の(吉岡)毅志には「ガイアの必殺技、ウンコみたいだな!」なんて言ってるんですけど(笑)。
――フィギュアは元々お好きなんですか?
つるの フィギュアもプラモデルも大好きで、数年前までは『聖闘士星矢』の旧『聖闘士聖衣大系』や『聖闘士聖衣神話』シリーズを集めたり、ファーストガンダムやデコトラのプラモを飾ったりしてました。全部息子に壊されちゃいましたけど(笑)。でも息子も言えば分かる年齢になって来たし、下は全員女の子なので、そろそろ集め直そうかなと思ってます(笑)。
▲「ずっと触っちゃいますね」の言葉通り、インタビューの間片時もフィギュアを手放さなかったつるのさん。表情からも、フィギュアへの愛が窺える。
――子供の頃に印象に残った玩具は?
つるの 小学校3~4年生くらいの頃に『マクロス』の可変バルキリーがプラモデルで出たんですけど、当時のお小遣いじゃ買えなくて。でもお金持ってる奴と器用な奴は買ってて、それを羨ましく思いながら……ロボダッチを作ってましたね(笑)。
――『ダイナ』の放映当時の玩具は?
つるの 全部買って、自宅で大切に保管してます。それと、映画で使ったリーフラッシャーは僕の自前で、普段は家の金庫に入れて保管してるんです(笑)。あれも仕舞いっ放しだとバネが緩くなったりするんですけど、最近は映画の度に手入れしてもらえるんで、ありがたいですね。色も塗り直されて、ちょっとカッコよくなって戻って来たりしますし(笑)。
――それでは最後に、ファンへのメッセージをお願いします。
つるの 前回の『大決戦!超ウルトラ8兄弟』はアクションが大変で、個人的には自信を持って「観て下さい」とは言えない部分もあったんですけど(笑)、『サーガ』はとにかく皆さんに観て欲しいですね。「ウルトラマンだから子供向け」とかそんなんじゃないから一人で観に行っても楽しめるし、今だからこそ大事にしなければいけないことを気付かせてくれる作品だと思うので。
それと、『ULTRA-ACT』のダイナは映画公開前に発売されるらしいので、こちらも売り切れる前に手に入れておいて下さい(笑)。
1975年5月26日生まれ 福岡県出身
太田プロダクション所属
『ウルトラマンダイナ』(1997年)の主人公アスカ・シン役でブレイク後は、俳優以外にラジオやバラエティー番組などでタレントとしても活躍。2007年以降は『クイズ!ヘキサゴンII』から生まれたユニット・羞恥心のリーダーとして活躍の場を広げ、全国区の人気を獲得している。また3月14日にはカバーアルバム『つるのうた2』がリリースされるなど、以前から歌手・ミュージシャンとしても積極的に活動。2009年にはベストファーザー賞、2010年には育児のために芸能活動を2ヶ月間休止するなど、「パパタレント」としてもつとに有名である。代表作に『アタシんちの男子』(2009年)国土豊、『名前をなくした女神』(2011年)秋山拓水など。