魂の骨格 「ONE PIECE 造形王頂上決戦2025」ヘビー級 優勝!「フィギュアーツZERO [超激戦] キャロット -スーロン-」原型師 安藤 賢司インタビュー
2026-03-16 20:00 更新
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『ONE PIECE 造形王頂上決戦2025』ヘビー級ランキングで、見事優勝の栄冠を勝ち取った「フィギュアーツZERO [超激戦] キャロット -スーロン-」。その原型制作を担当された安藤賢司氏に、造形とギミックが一体となった完成形に至るまでの過程を、たっぷり語っていただきました。
※記事内画像は原型制作過程、ならびに開発中の試作品を撮影したものです。実際の商品とは異なります。
■『ONE PIECE 造形王頂上決戦2025』への挑戦とヘビー級ランキング優勝の感想
――今回『ONE PIECE 造形王頂上決戦2025』への初出場と優勝されてのご感想をお伺いしたいです。
安藤:ビギナーズラックですね(笑)!
企画担当:そんな(笑)。ビギナーというには、もうレジェンドすぎるお方なので!これまでも「S.I.C.」シリーズや、数々の素晴らしいフィギュアを作られてきた方なので!
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安藤:実は、『ONE PIECE』のキャラクターフィギュア制作は、今回が初めてでした。これまでに様々な『ONE PIECE』のキャラクターが立体化されてきた中で、ちょうどチャレンジしてみたいキャラクターが残っていてくれていたんですね。いつもは怪獣やクリーチャーといった怖いものを担当することが多いので、そもそも女性キャラクターのフィギュア制作の依頼自体が、あまり自分には来ないですから(笑)。
企画担当:安藤さん的にも新しいチャレンジだったと言うことですか?
安藤:はい、そうですね。だから挑戦してみたいなって思いました。
企画担当:そういったお気持ちで担当いただけたことが嬉しいです!
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■「フィギュアーツZERO [超激戦] キャロット -スーロン-」完成までの道のり
――完成に至るまで様々な試行錯誤があったと思うのですが、製作過程についてお伺いしたいです。
安藤:台座の可動ギミックは、半分事故みたいな経緯なんです。最初の依頼内容が、キメ絵を真横から見たものにしてほしいというものでした。原作でも変身シーンの印象的なカットが真横の構図だったんです。それで、このシーンをどうしても再現したいっていう話になった時に、商品カットを撮影するカメラマンさんは、絶対正面や斜めの目線からのカットも撮るから、その角度でもフィギュアとして成立させないといけないということになりました。加えて、スーロン化をしたシーンをヴィネットフィギュアにするとなった時に、絶対に月も置きたい!と。でも、横からみて成立するように造形した月は、正面から見ると断面になってしまいますよ、と。
企画担当:なるほど。
安藤:それで試行錯誤を重ねて行く途中で、球体の月を一回試してみたんですが全然ダメで。球体の月はないなと。それで、どの角度から見てもフィギュアの後ろに月があれば良いのでは?と考えて、フィギュアはフィギュア、月は月で別々のスタンドにすることも検討したんですが、それじゃ全然面白くない。そこで、最初に描いたラフに立ち返った時に、台座に舵輪を描いていたので回転させてみようとなったのですが、今度はコストがかかりすぎるから、それもないなと。
企画担当:でも、その舵輪が描かれていた最初のラフイラストがめちゃめちゃ良かったんですよね。
安藤:作中でも相手の船の舵輪をバンバン奪って戦うので、舵輪は絶対入れたいという話になったのですが、ただ舵輪があるだけっても意味はないし、手に持たせる案は他の方が既にやっていたので。じゃあ舵輪も回すものだから、可動ギミックを入れた台座の意匠に入れられないかと試行錯誤しました。
企画担当:結果、ギミックとデザインが両立している形にしていただいて、本当にありがとうございます。
安藤:全部の機構がうまく組み合わさって、ほぼ偶然というか奇跡的なことですね。
企画担当:我々の無茶な要望を安藤さんのセンスで全部補っていただきました。
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安藤:あとはコストは大丈夫ですかって心配になりました。
企画担当:ギミックをつめればつめるほどお客様の手に届かない価格になってしまうので、コスト面でもなるべく手に取りやすい価格にしたかったんです。そこで、工場の方と安藤さんに実際に打ち合わせいただいて、いろいろ詰めていただきましたね。
安藤:そう、だから本当はもっと台座部分は小さい想定だったんですけど、そのサイズだと転倒するっていうことになり、底面積を大きくしましたよね。
工場の方とも、じゃあどのくらいまでなら大丈夫ですか?とか、一番小さくするなら何センチくらいですかって詰めていって、自動的にというか、計算ずくで今のサイズが出てきました。
企画担当:そうですね。実際にこのサイズじゃないと転倒するというギリギリのところまで工場の方に調整してもらって、さらにその上で安藤さんのセンスで最終的に調整いただきました。
■キャロットの美しさへのこだわり①:髪の毛と尻尾の表現
――360°どこからみても洗練された本商品ですが、特にこだわったポイントやこの商品ならではのポイントなどあればお伺いしたいです。
安藤:今回立体化する上で一番こだわらなきゃいけないと思ったのは、髪の毛ですね。原作でも尾田先生がちゃんと髪の毛の質感と尻尾の質感を描き分けてらっしゃるんですよね。造形でもそこはより誇張して、質感を作り分けました。ここが見せ場じゃないかという感じでしたね。
企画担当:ありがとうございます。それぞれの毛並みを、場所によって変えていただいていますよね。
安藤:そう、尻尾は、体毛なんですよね。髪の毛は、髪の毛なんですよね。そんな生き物は実際にはいないんですけども(笑)。普通の動物は全部体毛なんですけど、動物じゃないキャラクターなので、尻尾は体毛だけれども、頭髪とは同じじゃないようにしました。人間でも、髪の毛って人それぞれやっぱり質感が違う代表みたいなところなので、しかも女の子のキャラクターだから、これは力を入れて造形しないといけないなと。
企画担当:この毛の造形が、風が吹いているようなエアリー感がでていてすごいです。
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安藤:本当はもっと毛量があるんですよね。でもあれをやったら本当に・・・。
企画担当:また倒れちゃいますよね。
安藤:どの角度から見ても上手く切り取ってボリュームがあるように見せつつ、髪の毛と尻尾のあたりのボリューム感の造形と流れとか質感とかのバランスが、今回の一番の見せ場ですね。
企画担当:髪の毛の造形が、本当に美しいです。光が当たるとより透明度が出るというか。
安藤:髪の毛は透明パーツでできているんですが、表側にだけ白を塗って裏側の色が透けて見えるようにしてみたかったんですが、なかなか難しかったですね。
■キャロットの美しさへのこだわり②:表情のバランス
――キャロットを立体化するにあたり、楽しかった点や苦労した点をお伺いしたいです。
安藤:そこは女性キャラクターなので、顔の造形には一番気をつかっています。スーロンのキャロットは戦うキャラクターですし、結構やばい技なんですよね、スーロンは。だから若干怖くしようと思ったんですが。
企画担当:そうですね、そこは何度も相談させていただいて。
安藤:最初はもっと怖い顔してたんですよね。でも顔を怖くしすぎちゃうのはちょっと・・・ということになり、手の表現で怖さを演出しました。日頃は怪獣やクリーチャーなどを中心に造形しているので、そっち系というかちょっと怖い部分も残しておきたいなって。ここだけしかあんまり露骨に個性出せるところないかなって(笑)。
企画担当:今回のコンセプトは、戦う女性の力強さやかっこ良さもありつつ、メインは美しさでした。最初に作っていただいた顔もかっこよかったのですが、美しさの部分のバランスが負けちゃうかなというところもあって、いろいろ相談させていただいて、絶妙な、どっちもいいところをとりたくて、試行錯誤を重ねました。
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■最後に
安藤:製品にする時の制約って色々あるのは分かってましたけど、可動フィギュアだとエフェクトパーツもしっかり固定しなくても動く前提なので良かったのですが、動かさないからビシッと始点と終点が決まってないとばたつき出ちゃうんだなって勉強になりましたね。
企画担当:可動フィギュアは、可動すること前提ですが、今回のものは動かない前提のフィギュアに動くギミックが追加されているので、ノウハウの蓄積がない難しさがありました。これを踏まえて、今後も新しくできることが広がっていくと思います。
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安藤:最後になっちゃいますけど、結果的になんか面白いことにはなってるなぁと。面白いものを、みんなで作っていけるといいですよね。
企画担当:はい、ぜひ!
安藤:造形も好きですけど、おもちゃも好きなんで!
――本日はありがとうございました。
【プロフィール】
原型担当:安藤 賢司
20代で初めて作ったフィギュアが、魔法少女。
商業原型の女性キャラ制作は、「S.I.C.仮面ライダーOOO」のメズール以来の挑戦者。
【プロフィール】
企画担当:秋場
2025年4月よりS.H.Figuarts ONE PIECEシリーズの企画を担当。他、アニメ作品「S.H.Figuarts」シリーズや、アニメ作品「S.H.MonsterArts」、「PROPLICA」、「聖闘士聖衣神話」シリーズのアイテムも担当。
>【魂ウェブ商店 3/29受注締切】「フィギュアーツZERO [超激戦] キャロット -スーロン-」受注ページ
©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
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