魂の骨格 ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』商品化記念スペシャル対談
2023-07-24 10:00 更新
蒼き運命がROBOT魂を戦慄させる!
『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』より「RX-79BD-1 ブルーディスティニー1号機」、そして「MS-08TX[EXAM] イフリート改」がついにROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.に登場します。 今回、“ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.”化において着目したのは、初出となるセガサターン版ゲーム3部作、および大河原邦男氏の描いた設定画。今や多くのゲームに参戦、コミックなどでも人気のブルーディスティニーですが、その原点をイメージして立体化しています。そこで1996年当時、セガサターン版の開発に関わっていたプロデューサー稲垣浩文氏、ディレクター徳島雅彦氏に、蒼きMSを見ていただきつつ、企画担当Aより、そのこだわりについて説明させていただきました。
――1996年当時、セガサターン版に関わっていらしたおふたりから見たROBOT魂版ブルーディスティニーはいかがですか?
徳島:セガサターン版第2巻「機動戦士ガンダム外伝2 蒼を受け継ぐ者」のキービジュアル“そのまま”のイメージですよね。
稲垣:なかなか格好いいですよね。
徳島:初期のゲーム版、大河原邦男さんデザインのブルー1号機は、バイザーの面積が広くて。いかにも“ジム顔”なんですよ。その後、けっこういろんな方のアレンジでは、バイザー幅狭くなって、主役機らしさが強調されていますよね。
画像左:当時のキービジュアル/画像右:ROBOT魂
稲垣:カトキハジメさんの「GUNDAM FIX FIGURATION」版は、バイザーが狭いアレンジでしたよね。
徳島:もちろん、どちらにもファンがいて、どちらもかっこいい! ゲームの新作登場時は、いつもどちらにするか迷うんですよ。
稲垣:なるほど、確かに……!
徳島:申し訳ないけど、(ゲーム登場時は)いつも良い感じの中間値を狙っています。下から煽って見れば広く見えるし、上から俯瞰で見れば狭く見えるみたいな、ギリギリのところを攻めていますね。
稲垣:そういう意味ではイフリート改の頭の大きさは、ちゃんと解釈していただけている感じがします。肩の大きさも大きすぎずで、初期のデザインにすごくこだわっている感じがしますよね。
担当A:めちゃくちゃこだわりました。プロポーションとかも。
徳島:めずらしいプロポーションですからね。ROBOT魂でも、ここまで腰から腿にかけて独特なライン、フォルム作りはなかなか見ないので、面白いですよ。
稲垣:うん、なかなかかっこいい!
徳島:頭部は大きめ、さらに長めなんですよ。正面と横、それぞれの見方で表情が変わるのも良いですよね。まさに立体物ならでは。
稲垣:印象がだいぶ違うよね。
徳島:これはもうイフリートシリーズをどんどん出していって、違いを楽しんでいきたいパターンじゃないですか? いやでも本当に驚きました。
担当A:ブルーディスティニー1号機は腰の可動域もかなり広くなっています。引き出し式になっていて、一段上げて回すことで、俊敏な動きやポージングなどを演出できます。
稲垣:いいですね。
徳島:意外と連邦軍のMSで蛇腹構造はないんですよね。蛇腹は立体にすると、どうしても平たくなるので、本来、関節が仕込みにくいはずなんですが。
稲垣:ガンダム系など、基本的にはコア・ファイターが入る設計が多いから。蛇腹はブルーだけじゃないの?
徳島:最近だと『機動戦士ガンダム サンダーボルト』のアトラスガンダムもいますけど。ジオンの水陸MSの技術を応用した関節の機体で。
稲垣:ブルーが連邦における蛇腹機の先駆けですよ(笑)。
――カラーリングはいかがですか?
徳島:ここもまたね、もう作った人間だけに、ユーザーひとりひとりの思いの違いからいつも色々なご意見をいただきますね。私のイメージとしては、このカラーリングは抜群にいいと思いますね。
稲垣:マットな質感もいいですね。
徳島:もちろん「もっとすごい真っ青」みたいなのが好きっていう人もいるんですけど。
稲垣:ちゃんと最初のゲーム準拠。
徳島:ちょうどイフリート改との青の差別化も出てるし。
稲垣:差別化ね。当時のデジタルだと、けっこう似てしまうときもあるので。
徳島:似ちゃうんですよね。いや、ちょうどいい感じです。胸のカラーリングは、けっこう黒っぽい方に振られてしまうケースも多いですが、これくらいパープル寄りの暗色だと映えますよね。明るいブルーの方がちょっと緑系の明るい色なので、相乗効果もあって、めちゃくちゃいいと思いますよ。ゲーム制作時、イメージしていたカラーですかね! イフリートのカラーもすごくいいですよね。
稲垣:青の色味もすごくいい。
徳島:まさしくイメージ通りっていう感じですよね。ミサイルポッドもちゃんと塗り分けていただいてて。こんな細かい箇所まで……!
担当A:大事な所なので。
徳島:あからさまに格闘系の機体っていう感じなのに、ゲーム中は逃げながらひたすらミサイル撃ってきてますから。その印象が結構強いです。
担当A:今(取材時に)ご覧いただいているイフリート改は工場の試作1回目段階で、カラーリングは調整中ではあるんですが、肩の色はゲーム画面の赤を意識しています。実は今、商品化を検討している2号機に関しても、肩はイフリート改と同じにできればと思っております。
徳島:イフリート改のサーベルの形状は、制作側が意図せぬところで、現在の形状が主流となったんですよね。
稲垣:もともとはグフと同じデザインだったよね?
徳島:ゲームではグフのヒート・サーベルを流用としていましたが、もとのイフリートの剣……、まぁ結局、当時のゲーム内のポリゴン数が少なくて、本当はどういう形状なのか表現しきれないところもあって。その後、ゲーム「Gジェネレーション」シリーズで、ベースとなったイフリートの剣を持ったCGムービーパートがあって、そちらの印象が強く上書きされたんだと思います。
稲垣:まぁ、レンダリングしたムービーだったからね。ブルーディスティニーも「Gジェネ」だと脚部の装甲が開いてビーム・サーベルが出るシーンとか。
徳島:ああ、ありましたね!
稲垣:「あっ、ここにビーム・サーベル入ってるんだ!」って驚いたよ(笑)。
徳島:陸戦型ガンダムと同じという解釈なんですよね。
稲垣:ゲームはコクピットビューだから見えないんですよ。どこにビーム・サーベルを収納しているとか、ゲームとしてはわからない。当時、いろいろと都合がよいところもあったんですよね。
徳島:まあ、そうですね。武器とかは専用設定を起こさないことで自由になってましたね。
稲垣:それこそイベントシーン、ムービーシーンでしかプレイヤーが自機を見る機会はない。だからこそセガサターン時代はポリゴン数が少ない分、ユーザーがそれぞれ想像しやすかったのかもしれないよね。今だとかなりリアルに作れてしまうので、逆に想像する余地がないから。
徳島:本当、(ムービーは)今と比べれば紙芝居レベルしか再現できなかったですからね。
稲垣:ちょっと動くシーンでもポリゴン数が限られているから。当時のことをベースに現時点での解釈としてやっていただける立体化としては、ベストなんじゃないかなと思いますね。
――有線式ミサイルの再現についてお聞かせください。
稲垣:これはすごい。一番のおしゃれポイントですね。
徳島:差し替えになる訳ですね?
担当A:そうです、差し替え式で再現しています。ワイヤーの素材も好みの角度にできる仕様にするなど、こだわっています。
徳島:ああ、素晴らしい、ありがとうございます。
稲垣:嬉しいなあ。
徳島:ブルーは立体の機会こそ多いですが、このミサイルを再現した立体物はこれまでなかったですよね。
稲垣:完成品フィギュアだからこそのギミック。こんなこと再現しないよね(笑)。
徳島:ロマンがありますよ。当時、ゲーム的な都合もあって、「なるべく固定武器をいっぱい欲しいんです」とデザイン時に相談させてもらったんですよね。コクピットビューのゲームだと、携行武器に限度があったので、本体の固定武器を撃ち分けられる方が都合よかったんです。ただ、蓋を開けたらマシンガン、バルカン系が多くなりすぎてしまって……。
稲垣:大河原さんに絵を発注したとき?
徳島:そうですね。最初、ミサイルの箇所もガトリングだったんですよ。
稲垣:そうだったね。
担当A:ええ!?
徳島:「同じ武器が多くなってしまうので、どれかミサイルにしたいんです」とお願いして。マルチランチャーという換装が可能な装備という設定にしていただきました。
カラーリングも、ゲーム中の制限もあって、当初、大河原さんが描いたカラー設定から、腰と腿あたりは同じ色にしてほしいとお願いしました。
稲垣:普通、メカデザインの人に色まで発注しないんですよね(笑)。でも当時、大河原さんにお願いしたら、快く引き受けて頂けました。
徳島:当時、(入社して)1、2年目くらいですか?
稲垣:3年目だったかな。
徳島:自分もちょうど業界入って2、3年目くらいの仕事だったんで、全然分かんなかったですもんね。何していいんだか(笑)。本当にいろいろ時代の移り変わりで、試行錯誤、模索時代でしたよね。3Dゲームも初体験でしたし。
稲垣:大河原さんには「陸戦型ガンダムをベースにゲームオリジナルの機体をデザインしてください」とお話しましたね。
徳島:大河原さんが個人的にやりたかった陸戦型ガンダムのデザインがブルー3号機に反映されているという噂がありますね(笑)。かなり早かったですよね? 当時、画稿の上がりが。
稲垣:ものすごく早く仕上げて頂いたので、ありがたかったです。
――ミサイルを使って再現したいポーズなどはありますか?
徳島:当時、ゲームでよくやっていたのは、ミサイル撃って敵をひるませたあと、ジャンプで敵頭上を飛び越えつつ、連撃を背中から入れるみたいな。見せプレイですよね、いわゆる。一見無駄に感じられるような、ハッタリのきいたアクションはブルーとか似合いそうです。
稲垣:確かに。やり手な感じがするからね。
徳島:ゲーム登場時のブルーは、だいたいこのミサイルが攻撃の起点になることが多くて。一年戦争時の連邦軍MSに明確なカテゴリーはないかもしれないですが、いわゆる強襲型モビルスーツみたいな。それこそジオンで言えば、ケンプファーとかに近いですよね。
稲垣:一見重そうな機体なのに、EXAMシステムが発動するとやたら早くなる。ちょっと変だよね(笑)。
徳島:まあ、オカルトですね。もっともガンダムって、意外とそのオカルトを含んだSF作品なんで。ユニコーンガンダムのNT-Dシステムと、EXAMシステムは、ある意味設定的な親和性も高かったりするので。
――ではROBOT魂におけるEXAMシステムの再現についてはいかがですか?
徳島:すごいですね。バイザー交換の構造は、かなり新しいと思いました。これまでの立体化では、意外と大がかりな付け替えで、ならいっそ顔ごと交換にしてほしいみたいなこともあったので。ROBOT魂は、キャラクターフィギュアの髪の毛を交換するくらいの感覚で差し替えできるのがいいですよ。
担当A:交換すると、目が赤くなります。
徳島:自分でブルーディスティニー(のガンプラ)を作るときはやっぱり赤目にしちゃうんですよね。
稲垣:わかる! 僕も赤い方を飾っています。
徳島:当時、“暴走”みたいなワード大流行してたんですよ。某“新世紀”なキャラクターの影響で(笑)。もうみんなそういう暴走とかそういうのをやりたくてしょうがない時代だったっていうのもありました。
ただ、自分はどっちかと言えば、やはりゲームなので、流行りよりもコンセプト的にパワーアップ要素が欲しかったんですよ。最初、イメージしていたのは暴走よりは、コントロールできるパワーアップ。それこそ『蒼き流星SPTレイズナー』のV-MAX、あれをガンダムでもやりたかった。
担当A:今回、イフリート改のEXAMシステムにもこだわっていて、モノアイにも専用のEXAM発動エフェクトが付けられる仕様になっています。
徳島:イフリート改のEXAM発動は分かりにくいですよね。ブルーディスティニーはパっと見でEXAMが発動してることがわかるのですが、イフリート改はわかりづらい。それこそモノアイの赤がちょっと濃くなったくらいで。
担当A:おそらくイフリート改の立体でEXAMシステムをフィーチャーしたものはなかったはずなので、絶対に再現したかった箇所です。今回、非常にこだわりました。
徳島:こうなってくるとアレが欲しくなってきますよね。最近、よくプレミアムバンダイさんであるロゴプレート。EXAMシステム発動とかの欲しくないですか? ROBOT魂の前に置きたいですね。EXAMシステムスタンバイ……と。
――これまで数々のMSをROBOT魂化していますが、ブルーやイフリート改と競演させてみたい機体がありますか?
徳島:ブルーとの親和性では、やはり一番馴染むのは『機動戦士ガンダム 第08M小隊』(以下『08』)の機体とか。
稲垣:ゲーム制作時、ガンダムのOVAをよく観ていたよね。
徳島:そうですね。モーションなどはけっこう『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』のMSの動きを参考にしている箇所もありました。でも設定の系譜は『08』の方が結びつきは強いですけどね。
稲垣:地上戦だしね。
徳島:特殊システム「EXAM」の系譜で言えば、ユニコーンガンダムと並べるのは、面白そうですけどね。
稲垣:たしかに面白いね。
徳島:ただ全高の差が大きい。ユニコーンガンダムがお兄さんになっちゃいますよね。イフリート改だったら、それこそグフ・カスタムとか。“武人”用MSみたいな感じなので(笑)。
稲垣:イフリートはノリスにも乗ってほしかったって思っちゃいますね。
徳島:エース機ですからね。グフ系のほかにも、ドム系とも意外と相性がいいかもしれませんね。型番的には中間に位置するので。
稲垣:ver. A.N.I.M.E.シリーズの今後の展開も引き続き楽しみですね。
稲垣浩文
■PROFILEバンダイナムコエンターテインメント所属。1996年当時セガサターン版『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』3部作をプロデュース。以降、「ガンダム」を中心に多くのゲームを担当したほか、『交響詩篇エウレカセブン』などアニメーションも手掛けた。現在は、同社にて自社IPのプロダクション部門を統括している。
徳島雅彦
■PROFILE株式会社B.B.スタジオ所属。セガサターン版『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』では監督のほか、モーションデザイン、グラフィックなど幅広く担当。『機動戦士ガンダム外伝サイドストーリーズ』、『機動戦士ガンダム バトルオペレーション』など、ガンダムゲームで、企画、監督、脚本などを手掛けている。
©創通・サンライズ
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