TAMASHII NATIONS 公式ブログ
クオリティの高いフィギュアを追求する、「TAMASHII NATIONS」の最新フィギュア情報をお届けしています!

魂の骨格 T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

「T.M.Revolution×S.H.Figuartsアクションフィギュア化プロジェクト」では、名曲「HOT LIMIT」のコスチュームで西川貴教氏を大人向けのアクションフィギュアシリーズ「S.H.Figuarts」化。今回のプロジェクトではフィギュア化のために、衣装も新たに2022年版HOT LIMIT衣装を制作している。そして、衣装制作を担当しているのが早瀬昭二(マッシュトラント)氏である。早瀬氏はこれまでも西川氏のさまざまな衣装制作を担当。現在の西川氏の肉体に合わせた衣装はいかに制作されたのか? そのこだわりについて早瀬氏本人に語ってもらった。

■コスチューム制作

――衣装制作はどのようにスタートしたのでしょうか?

早瀬:“当時の衣装を今の肉体で着る”がコンセプトでした。作るために必要な物として今の本人のマネキンと当時の衣装資料写真。すでに3Dスキャンをしたデータがあったので、1/1マネキンを発泡スチロールに出力してもらいました。問題は資料……無いんですよね。

T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

───当時1998年、今から20年以上前ですよね。

早瀬:インターネットの力を駆使するのですが、自分の検索技術では限界があり、どんな質感で、どんな生地のテンションなのかわからなくて。で、今さっき(※)本人に聞いて答え合わせができたレベルでした(笑)。
※本インタビューはT.M.Revolutionライブ収録後に行っております。

──衣装制作はかなり苦労されたのでは?

早瀬:実際、形を作ること自体はそうでもないのですが、現在の身体を横から見ると、胸の筋肉の盛り上がり方が「軽トラ」の前部分みたいなシルエットで(本人が言ってたんです)。当時の「HOT LIMIT」の頃と体形が違うんですよね。当時はフラットな体つきだったのが、より三次元的となり、直線的なもので構成して覆うことが非常に難しくて……。当然のことながらライブで動けるようにするなど、ステップがいくつもあったんですよ。「こうは動くけど、ここがこうなっちゃうんだけどどうしましょう?」って相談する相手もいないので10人くらいの自分といつもディスカッションしていましたね(笑)。

――ご本人のスキャンデータとは言え、その日の条件・パンプアップ状況などでもサイズは変わりますよね。

早瀬:ですね。洋服のサイズでバスト・ウエスト・ヒップなどがありますよね? B○W○H○みたいな。仮にその円周わかったとしても上から見て丸なのか、俵型なのか、四角いのか、これによって違うんで。ゆったりとした服などではあまりシビアな話ではないのですが、今回みたいな形の場合、位置が1cmずれただけでも、大きな差を生み出すんです。ただ筋量が増えたところは位置さえ特定できてしまえば、型紙である程度は直せます。

──フォルムや曲線が変わってしまうんですね。

早瀬:そうですね。その誤差を補うのにレオタード生地みたいなものも考えましたが、あの筋肉にピタピタのレオタード衣装ってのも……なかなかなんで。そもそもフィギュアの生地感は0.5mmくらいなんですが、1/1だと7mmくらいなんです。ウルトラマンのコスチュームが5mmくらいなんですが、それで作ると筋肉がつぶれちゃうんです。で、今回は2mmを選びました。そこにフィギュアの塗装に近いマットな生地(1mm厚弱)貼って、縁にテクスチャの違う生地でパイピング(縁を生地で包む)して何とか厚みを出しました。パッと見で4mm強に。フィギュア制作に携わっているすべての方々は厚みやピッチは絶対に気にするはずなので、ミシンで縫える範囲ですが頑張りました!

T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

――素材にはディテールもありますよね?

早瀬:さすがに1/1になったとき、マットな生地だけでは「間がもたないかな?」と思って。最初に3種類のテクスチャを作ったんです。今のタイプのほか、スパイダーマンのスーツのようなハニカム構造や“あみだくじ”のようなタイプもありました。その中から西川さんに選んでいただきました!

──制作時も西川さんとやりとりがあったのでしょうか?

早瀬:本番に近い1回目のサンプルを作ったときなのですが、「う~ん。なんだろう、こんなに線、太かったっけ?」って言われて…。結果、自分の計算が間違えていて…。1cm強太く作ってしまったのです。眼力王! T.M.Revolutionでした。

――西川さんの肉体に合わせて、衣装自体もアップデートされているんですね。

早瀬:ですね。当時の衣装を再現することが前提だったのですが、そもそも靴など同じものがなくて似ているものを探そうとしているとき、西川さんが「あ! あれが合うかも?」って靴が決まり、その靴のデザインに合わせて、ベルトの位置関係を“すこ~~し”だけ変えました。肉体の肌面積なども当時と違うため、オリジナルに無理に似せるよりもオリジナルに見えるルールの中でのアップデートが必要となりました。オリジナルを知っている方々からツッコまれない程度に、ここから“当時の衣装”→フィギュアと同じ衣装へシフトチェンジしました。

──シフトチェンジによってアップデートされた箇所はありますか?

早瀬:あ! あと衣装にゴールドのラインが入っています。もともとの使用する素材の一部に入っていたのを西川さんが「パーツのフチにちょっと差し色で入れるのありかも?」。で、手首、二の腕のそれぞれに配色したものを作りました。ここで自分が痛恨のミス。フィギュア開発のチームにベルトのピッチが変わったことやゴールドの配色があることを伝え忘れていて。

T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

──フィギュア実物と別衣装になってしまう可能性もありますよね。

早瀬:最終的には間に合ったのですが、原型師さん、本当にすいませんでした! そして、ありがとうございました。

――今回のプロジェクトは、かなりプレッシャーもあったのでは?

早瀬:いや、ホントにすごかったですよ(笑)! 今、このタイミングを迎えるまで3ヶ月近く夜もまともに眠れませんでした。写真がそれを語っています(笑)!

――衣装制作ではかなりのトライ&エラーもあったのでは?

早瀬:ダメだったら作り直す。何度か作り直して、これが4体目です。こんなに作る予定ではなかったんですけどね。最初はサンプル1個作って、本番作って、本番で調整して2.5体ぐらいで終えるイメージでした。もとより材料自体ギリギリで、もし作り直すパーツがあった場合、実はアウトでした……。

――西川さんの衣装姿を見て、あらためて感想はいかがですか?

早瀬:今日を迎えるまで、それこそ「失敗したらどうしよう」とか、「収録が中断になるような直しが発生したらどうしよう」とか。衣装は実際に着ていただいて、何事もなくライブなどが終わって、初めて完成形に近くなるので。まずは一安心しました(笑)!

■S.H.Figuarts T.M.Revolution

――フィギュアの実物はいかがですか?

早瀬:フィギュアのクオリティがすごいのは当然のことなんですが、いや~、このポージング! 関節のギミックがすごい!! さっき西川さんもこのフィギュアを触りながら「すごい……どのポーズをしても自分を見てるみたい」って言っていて。自分が昔持っていたフィギュアではありえないくらいの関節の数、ましてやこのサイズ感で……。ホント、びっくりです!

T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

――早瀬さんは「S.H.Figuarts」はご存じでしたか?

早瀬:いや、全然……あの、存じ上げませんでした。すいません。仕事始めて30年以上アニメやおもちゃの情報はほぼ更新できてなくて……。

──実際、フィギュア化、さらにフィギュアのための衣装制作の依頼に対して、率直にどう思われましたか?

早瀬:衣装制作については、みなさんの知っているオリジナルに対して手を加えることには若干の抵抗がありました。フィギュアについては「ディテールどの位なんだろう?」ぐらいで。実際出来上がったものを見て、あまりにも技術の進化に“浦島太郎状態”です。

――逆に昔はフィギュアなど集めていたことも?

早瀬:当時、ほしいフィギュアなどあまりなかったので集めていなかったのですが、中学生くらいのとき大好きすぎて「ウイングマン」を針金にハンダ線巻いてパテで作ったりしてました。それこそ小学生時代は「HOW TO BUILD GUNDAM」で小田雅弘さんたちの作例を見ながらガンプラ作ってましたね。

T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

――「HOW TO BUILD GUNDAM」はガンプラ制作のバイブルですね。

早瀬:ですよね! この本が出る前までは普通にキットを組んでいたんですが、「HOW TO BUILD GUNDAM」を見てからは、動力パイプはおろか、“手”などもパテとランナーで自作していましたね。「あー、ここを詰めて、ここを盛ると似てくるんだ」って。同世代の方たち大半がやっていたと思います。自分が子供の頃のおもちゃってなんだか似ていないものが多くて。今見るとそれも味があっていいんですけどね。たまに「どうしてこんなに似てないんだろ?」ってもの、けっこうありましたからね(笑)。

――当時の既製品のような“違和感”は感じないですか?

早瀬:(笑)。まったくもって感じないですね! 違和感どころか感動するレベルですよ。本当にすごいです。差し替えパーツもすごいですし、下の台座からマイクからどれをとっても、見て、触って、本当に楽しいです!

――可動の進化もあり、ポージングの自由度も常に進化していると思います。

早瀬:ですね。前提として「ここを見てほしい」、「こう使ってほしい」など、自分も作り手側の気持ちを伝えたりしますが、こういうフィギュアは繊細に扱わないと、(パーツが)取れたり、折れたりするじゃないですか? 見て、触って、楽しいだけではなく、同時に頭の中で指先の力を調節しながらなんてちょっとした“知育”的な気がします。さらにポーズをつけ、眺める角度によって見える世界が違うのも想像力をかきたててくれますね。

T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

――早瀬さん的にも欲しいと思っていただけますか?

早瀬:(笑)。そうですね……正直、“普通の西川さんの人形”を欲しいかと言ったら別に欲しくないかも…すいません(笑)。でも、これは間違いなく欲しいです! 多分、何個も買って回りに配るかも(笑)。とにかく見て、触って、楽しい! 同じサイズ感のフィギュアとか、家具とか集めたくなりますね。多分、西川さんも「自由に遊んで」って感じだと思いますし、それこそ“タカノリ的にもオールオッケー”なはずです(確認してないですが)!
――ありがとうございました。

早瀬昭二(マッシュトラント)


■PROFILE
T.M.Revolution「HOT LIMIT」2022Ver.誕生秘話 ~[衣装制作]早瀬昭二 インタビュー~

 

特殊衣装、着ぐるみ、プロップス、アイドル衣装制作などを手掛ける。CM、ライブなどのアーティストの衣装のデザイン、パターン、縫製などを担当している。

T.M.Revolution アクションフィギュア化プロジェクト!

ブランド別商品一覧 「可動によるキャラクター表現の追求」をテーマに、「造形」「可動」「彩色」とあらゆるフィギュアの技術を凝縮した手の平サイズのスタンダードフィギュアシリーズです。


注意事項

  • 画像はイメージです。
  • 商品の画像・イラストは実際の商品と一部異なる場合がございますのでご了承ください。
  • 発売から時間の経過している商品は生産・販売が終了している場合がございますのでご了承ください。
  • 商品名・発売日・価格など、当ホームページの情報は変更になる場合がございますのでご了承ください。
  • 発売日は全て日本での発売日を掲載しています。日本以外のエリアでの発売日は各所販売サイト・販売店でご確認ください。
  • 商品取り扱い状況でご案内がない場合はお近くの販売店にてご確認ください。
  • 当ホームページでは、魂ウェブ商店の商品は2012年7月以降発送のものを収録しております。
    また、一部「魂ネイションズ」から展開している商品で、当ホームページで紹介していない商品もございます。
  • 当ホームページでは過去発売の商品について、現在店頭等で購入するとした場合の新税率(10%)で表示しております。
    発売当時の価格(旧税率)と異なる場合がございますので予めご了承ください。
  • 店頭販売商品の価格は、消費税を含んだメーカー希望小売価格表示です。
  • 魂ウェブ商店の商品価格は、消費税を含んだ販売価格表示です。
  • 魂ウェブ商店のアイテムが購入できる際に表示される「今すぐ購入」ボタンは、ご希望の商品をプレミアムバンダイのカートに直接入れられるサービスです。プレミアムバンダイのメンテナンスやお使いのデバイス設定等により機能しない場合があります。
  • プレミアムバンダイへのアクセスが集中している場合、 「今すぐ購入」ボタンが非表示・またはアクセスできても正常にページが表示されない場合がございます。その場合は大変恐縮ですが、時間をおいてお試しください。
  • iPhoneをお使いの場合、日本以外の「今すぐ購入」ボタンが動作しないことがあります。ブラウザ設定の「サイトを超えてトラッキングを防ぐ」をオフにすると改善する場合があります。

この記事を評価する

このページの内容は役に立ちましたか?

一言コメント

LANGUAGE
  • 日本語
  • English
  • 简体中文
  • 繁體中文
  • español
JAPAN
  • JAPAN
  • ASIA
  • US
  • EU
  • LATAM+
Cookie Settings