魂の骨格 「METAL ROBOT魂 ランスロット・アルビオン」発売記念スペシャルインタビューI ~メインアニメーター 中田栄治編~
2018-05-21 18:15 更新
■「METAL ROBOT魂 <SIDE KMF> ランスロット・アルビオン」について
――実際手に取った感触はどうですか?
中田:重たい! やっぱり金属はいいですね。
質感がめちゃくちゃいい!
――金属パーツは重量がありますからね。
中田:金属パーツだから関節の部分もしっかりしていますよね。
金属の関節が隙間から見える箇所なんて最高にいいですよ。
とくにこの体幹の部分。
腹部や股関節も全部金属なんですよね?
――フレーム部分は基本金属パーツです。
中田:萌えるやつじゃないですか(笑)。
足首の関節も絶妙にフォルムがいいですよ。
――METAL ROBOT魂では以前、中田さんがおっしゃっていた「甲冑の延長としてのナイトメアフレーム」をイメージしています。
※画像の設計3DCGのゴールド部分がダイキャストの使用箇所です。中田:たしかに装甲部分は甲冑みたいな造形ですね。「作画では絶対入れるだろうな」と思うような“凹凸”がしっかりと立体化されていますし。デザイン的にはディテールを省いてシンプルになっているので、立体になると、そこがちょっと寂しくなりそうな部分なのですが、(METAL ROBOT魂は)いいバランスでディテールが入っています。
――可動域やポージングにもこだわりまして、“蹴り”のポージング画像はTAMASHII NATION2017のスペシャルステージで発表したのですが、ユーザーさんの反応がよかったです
中田:これ、カッコイイですから。蹴りができるように股関節も引き出せて、動かせるからできるんですね。こういう可動域がポージングのキモとして効くんですよ。スタートポーズもいいですし。
――劇中には登場しないですが、イメージで再現しました。ちなみにランスロット・アルビオンは設定的にはどう発進するんですか?
中田:私も知りたいです(笑)。谷口悟朗監督に聞かないとわからないですよ。でも、ランスロットと同じく、スタートポーズからレールで射出して、エナジー・ウイングを展開して……だと思います。
――ROBOT魂などの立体はご自身でポージングをするんですか?
中田:はい。自室のショーケースにそれぞれポーズをつけて飾っています。たまには(ポージングを)変えてみようと思うものの、結果的にそのままです。壊しそうでできないんですよ(笑)。
――「METAL ROBOT魂 ランスロット・アルビオン」ですが、ROBOT魂版と比べていかがですか?
中田:初見では「細かい部分が違うくらいかな」と思っていたのですが、見比べるとクオリティの向上がよくわかります。胸の造形もすごいです。もしかして、ROBOT魂よりMETAL ROBOT魂の方が大きいですか?
画像左:METAL ROBOT魂 ランスロット・アルビオン 画像右:2009年発売 ROBOT魂 ランスロット・アルビオン
――はい。パーツ数も相当増えていて、その密度感も重量に反映されています。
中田:(ランスロット・アルビオンは)当時、設定自体がほぼラフみたいな状態だったので、後頭部のあたりが曖昧だったんです。設定を固める時間がなくて、作画時にほぼ自分のほうで修正していました。そのため並行して開発を進めていただいた「ROBOT魂 ランスロット・アルビオン」は横顔など若干劇中の印象とは異なります。今回のMETAL ROBOT魂では、このあたりもしっかりと監修ができたのでよかったです。
――顔以外にも監修でこだわったところはありますか?
中田:やはりバランスですね。四肢の大きさはボリュームが出ているところをスリム化してもらっています。それと関節位置などの調整をお願いしました。昔はメカの立体と言えば“ガンダム的なフォーマット”になってしまうことが多くて、何度も腕の長さや大きさを調整してもらいました。今は立体化の際、ナイトメアフレームのデザインやバランスに慣れてもらえたのかもしれません。イメージ通りのバランスになっていると思います。
――エナジー・ウイングはいかがですか?
中田:今回は立体的に造形されていますよね。すごいカッコいい。ROBOT魂版は薄いPET素材でしたよね。当時こそ満足して受け入れていたのですが、METAL ROBOT魂版では存在感が違います。また、カラーリングもいいですよ。一見重そうですけど、ここは軽いので驚きました。ヴァリスも全モード再現できるんですね。
――すべて差し換えなしの変形で再現できます。
中田:すごいチャレンジングですね(笑)。もし、webや雑誌で写真を見ただけなら、普通は「差し替えでやるんだ」と思いますよ。
■「ランスロット・アルビオン」のデザイン
――ランスロット・アルビオンのデザインについてお聞かせください。
中田:第七世代KMF実験機として開発されたランスロットですが、ランスロット・アルビオンは第九世代。TVシリーズではランスロットの進化における頂点なんです。シンプルなのは進化を表していて、結果、ディテールを省いたデザインになっています。
――ランスロット・アルビオンは、それまでのランスロットからだいぶ顔の印象が変わりましたよね。
中田:そこは意識的に変更しました。TVシリーズでは第1期と第2期でスザクの立ち居地がだいぶ変わりますよね。スザクの心情、印象をそのままメカの顔や目つきにも投影したかったんです。乗り手が変わったら、メカにもその乗り手が反映させたいというのは、常々あるので。「METAL ROBOT魂 ランスロット・アルビオン」は顔がいいですよね。だいぶ劇中の顔のバランスになっています。
――ランスロットといえば、その名からアーサー王の“円卓の騎士”が想像されます。
中田:“円卓の騎士”は後付けですよ。“ランスロット”の名前ありきで、トリスタンとモルドレッドは『コードギアス 反逆のルルーシュR2』の直前に名前が決まったくらいです。トリスタンとモルドレッドは決定前に名称が何回も変更されているので、私も現場も混乱するくらいでした(笑)。
――カラーリングについてはいかがですか?
中田:“アルビオン”も名前ありきで、当初、真っ白だったんですよ。“アルビオン”は白亜の国、白い国の意味ですから。でも、なんだか締まらない感じがして、ゴールドを追加しながら今の配色になったんです。やはりゴールドがないとランスロットらしくないですから。(カラーリングを)決めるのには苦労しました。
――他にもカラーリングの候補はあったのでしょうか?
中田:いろんなパターンを試しました。初期のランスロットは、トリコロールも(笑)。
――それは“ガンダム”的ですね(笑)。
中田:とりあえず「サンライズと言えばトリコロールだろう」とやってみたのですが、瞬時にないと判断して(笑)。ちなみに赤も候補のひとつで、のちのランスロット・トライアルに繋がります。
■近日詳細情報公開「METAL ROBOT魂 <SIDE KMF> 紅蓮聖天八極式」
――まだ試作ですが、「METAL ROBOT魂 <SIDE KMF> 紅蓮聖天八極式」も見ていただいてよろしいでしょうか?
中田:胸の“目”みたいな箇所がすごいことになっていますね。“ファクトスフィア”でいいのかな、これ。ナイトメアには三種の神器があるんですよ。スラッシュハーケン、ファクトスフィア、ランドスピナー。ただ、いっぱいナイトメアを設定しすぎたせいで、忘れる時がありますけど(笑)。
――外装は彩色で仕上げられる予定です。
中田:全体の赤もですが、ワインレッドの部分がすごくいいですよ。このカラーリング、好みです。
■『劇場版 コードギアス 反逆のルルーシュ』三部作への思い
――劇場版三部作についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
中田:あえて明確に「このシーンで!」とは言いませんが、当然、ランスロット・アルビオン、紅蓮聖天八極式も活躍しますよ。まぁ、登場しないわけはないですからね(笑)。劇場版第2部の『叛道』は、TVシリーズのルルーシュ視点と異なるスザク視線で描かれていたりと、ただの総集編ではない、ジェットコースター的な展開を観てもらえると思います。
――実際『コードギアス』シリーズはここまで息の長いコンテンツになるとは予想されていましたか?
中田:いや、思ってなかったですね。プラモデル化も少なくて寂しいなと思っていたら、ROBOT魂で次々と商品化されて、「これはすごいぞ」と。特にランスロットが初めてROBOT魂化された時はテンションが上がりました。
――ROBOT魂の前身のひとつである「IN ACTION!! OFFSHOOT」からの進化版でした。
中田:当時、「こういう造形でお願いしたい」とメモ的なものをかなり描きましたね。それをちゃんと再現してもらえたので、スタジオ内でも話題になったんですよ。
――スタジオではどんな反応でした?
中田:私の作画にそっくりと言われました。それまでの立体は顔のバランスがなかなか自分の描く絵みたいになることがなくて。あれは完璧に再現されていました。実際、「ROBOT魂 <SIDE KMF> ランスロット」は、本当に作画参考モデルになると思いましたから(笑)。
――立体化されることで、ご自身の作画に影響を与えることはありますか?
中田:ありますね。「ROBOT魂 <SIDE KMF> ランスロット」の時も、作画や設定には無いけどこの表現はありだなって思う部分もありましたし。版権イラストでディテールなどをフィードバックすることがあります。
――今回のランスロット・アルビオンは開発側としても、10年の想いを込めています。
中田:まさかMETAL ROBOT魂でリファインされるなんて予想もしていなかったので、めっちゃ嬉しいです。
――他にもリファインしたいナイトメアはありますか?
中田:それはもう、グロースターとか蜃気楼とか……うん、蜃気楼! 蜃気楼の決定版が欲しいです。それと、ポートマンとパンツァー・フンメルはまだ商品化されてませんけど(笑)。
――ポートマンの立体化希望は以前のインタビューでもおしゃっていましたね。
中田:劇場版にも登場させますけど……一瞬なので、もっと活躍させればよかったかな。
――本日はありがとうございました。
【プロフィール】
中田栄治
1972年生まれ。
アニメーター。
『コードギアス』シリーズでナイトメアデザインやメインアニメーターを担当。
『機動武闘伝Gガンダム』、『∀ガンダム』、『機動戦士ガンダムSEED』、『機動戦士ガンダムUC』など数多のガンダム作品でも原画やメカ作監として名を連ねる。
ちなみに趣味は自転車で、愛車BROMPTONはワンオフのKMFランスロット仕様。
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