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S.H.Figuarts「フレディ・マーキュリー」商品化決定記念
「匠が造る魂のデジタル彩色技術」スペシャルトーク
「S.H.Figuartsフレディ・マーキュリー」の2016年3月発売決定を記念して、制作に携わった株式会社エムアイシーの原型師 K.O氏と3Dデータデザイナー 二条忠則氏によるクロストークが実現。
最新の「デジタル彩色技術」について伺った。
■フレディに見える顔にまとめて上げていく作業は、なかなか大変でした。
――フレディ・マーキュリーの顔を「魂のデジタル彩色技術」で本物再現する際に、
特に気を付けたポイントや特徴を教えてください。
K.O:難しかったのは骨格の特徴をとらえるところですね。普段見慣れている東洋人の骨格ではなく、インド人の骨格なので。顔だけ合わせようとしていると似なくて、後頭部あたりから作ると特徴が出てきたり、ということはありました。
二条:コンサート映像などいろいろ見まして、眉やほくろの位置、シワなどをよく観察してデータに反映できるように研究していきました。あとヒゲ(笑)。ヒゲの生え具合が年代によって違いますし、季節によって変わっていたり映像ごとに変わっていたり。しかしトレードマークなのでそこにはこだわりました。
K.O:目の下の影が特徴的でしたね。三角形に落ちるというか、彫りが深い人の特徴ですね。
二条:今回のフィギュアに関しては、1986年ウェンブリースタジアムの映像や*バンドエイドのものを参考にしているんですけど、その時に居たフレディの雰囲気を再現しようと心がけました。鼻が高くて影の入り方が右と左で違うところは特に注意しています。
※バンドエイド:1984年にイギリスとアイルランドのロック/ポップス界のスーパースターが集まって結成されたチャリティー・プロジェクト。
■ヒゲはかなりこだわってつくりましたね。
――フレディといえば女性っぽいメイクも特徴ですが、メイクの表現についてはいかがでしょうか。
K.O:フレディは男性にしてはメイクが濃くて、目をはっきり強調しています。
二条:彫りが深いとデジタル印刷技術の都合上いろいろリスクが生じる部分もあって、その辺をどう回避するか考えながら、フレディの化粧や肌の陰影がしっかり再現できるように注意してデータをつくりました。
K.O:個人的にはあの青ヒゲの感じとかが、リアルさを出すうえで重要だったんじゃないかと思います。
二条:そうだね。ヒゲはかなりこだわってつくりましたね。一本一本描いてるんじゃないか、くらいの勢いでつくりました(笑)。あと意外と鼻の穴が目立つとか、今までの人生でこんなにフレディの顔を見たことあるかってくらい研究して再現できるようにこだわりましたね。
K.O:鼻の特徴って案外つかまえづらいところですよね。目とか口に比べると何でもないような造形で、実は特徴が出ているポイントだったりするので。2人で近くにいて連携してつくれたところが非常に大きいメリットだったと思いますね。
二条:2cmくらいの顔のなかに入れていく内容と、省略すべき内容をうまく選択しながら、しっかりとフレディに見える顔にまとめて上げていく作業は、なかなか大変でした。企業秘密的な話になりますが、そう簡単にできることではないですね。
――「目線」「目の表情」が本物感を演出するのに重要なポイントと聞きます。そこのこだわりを聞かせてください。
二条:若干目線を上目使いにするとか、アクションフィギュアなので、遊んでいるときに違和感のない目線の使い方を研究しました。シャウトしているときとか、顔の表情によって目のデータはこだわってつくっています。
K.O:シャウト顔に関しては、手にとって見たときに、そこからあの歌声が想像できるか、歌声まで含めてその形に込められているかは、気にしていたところではありますね。
二条:のどを開いてます!という顔ね。
K.O:あの顔がいちばん評判良かったですよね。
二条:歌いながらつくってたよね(笑)。口の動きや表情筋の流れを見ながら。
■長年研究してきた技術がS.H.Figuartsに集約されているなぁと。
――フレディをはじめとした約6インチサイズのリアルフィギュアのクオリティと進歩が、近年めざましいです。
K.O:ユーザーのかたがだんだんリアル指向になってきて、それにデジタル印刷の技術が追いついてきて、本物をいかにとらえられるか、ということが(フィギュアの)売りの一つになってきたと思います。あのサイズ(6インチ)でリアルさを損なわずに、なおかつよく動くフィギュアは、ここ数年で進歩したという気がします。
二条:「なんか似てない」って簡単に言われるんだけど、実はいちばん注意しなくちゃいけないことだね。
K.O:つくる側は、その「なんか」を解明しなきゃいけないですね。
二条:「似てるなぁ」とか「かっこいい!」といったファーストインプレッションが付くと、そこでフィギュアの価値がグンと変わるから、お客様が頭の中で補完するよりは、本当にスクリーンからそのまま出てきたようなものが求められてますね。
K.O:誰もが知ってる大スターを自分の手の中で自由に動かせる感動はありますよね。
二条:デジタル印刷の技術がS.H.Figuartsに導入されたのはここ最近なんですけど、長年研究してきた技術がS.H.Figuartsに集約されてるなぁと。また適度に彩色できるサイズのフィギュアに対してリアルな顔がのるっていうところですごくはまった。それで非常に価値が出るものになったと、制作する側でも肌で感じてますね。
――リアルフィギュアの制作過程で、どういう瞬間が作り手として嬉しいですか?
K.O:3Dプリンターで出力して、素立ちで立たせてみたときに、決まってる!と思えたら、自分的にはすごい嬉しい瞬間です。
二条:3Dデータの作業としては、印刷のテストを重ねて、ぴったりと造形と合致したときの感動は毎回ありますね。
K.O:フレディに関しては、最初のショットからわりと似たほうでしたよね。
■顔以外でもデジタル彩色の技術を使っていろいろチャレンジできる
――作り手から見て、S.H.Figuartsとデジタル彩色技術の未来はどうなっていきますか?
二条:技術的には原型とデジタル彩色の連携がとれて、本当に自分たちでも驚くような内容のものが、試作レベルでもあがってきています。生産技術もどんどん向上してるので、顔以外でもデジタル彩色の技術を使っていろいろチャレンジできる部分はあると思いますね。
K.O:短い期間でもだいぶクオリティ上がってきてますし、(自分自身も)上がっていかなきゃいけないんで、そこは自分で期待したいところですね。
二条:可動するリアルフィギュアのなかで、ここまで良い内容のものを生み出してきてるんで、S.H.Figuartsの良いところ、フィギュアとアートの部分はしっかり生かして、もっとお客様の満足のいくものをつくっていきたいですね。
――最後に、フレディ・マーキュリーフィギュアの見どころをお願いします!
K.O:フレディは造形もがんばった点ではあるんですけど、他のフィギュアに負けず劣らず可動する仕様を研究してますので、ぜひ手にとって体感してみて欲しいです。
二条:2人ともクイーンの世代ではないんですが、そんな2人が全力でつくったフィギュアを(クイーン)世代の方々に受け取っていただいて、せひ感想をいただきたいと思います。顔とか可動のポイントとか、お手にとって楽しんでいただけたらと思います。
――ありがとうございました!
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